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RQ分析を支えるコンセプト

RQ検定とは、人と人との関係やチームの中の人間関係の質(RQ=リレーショナル・クオリティー)を観察・分析し、関係をより健康的・創造的・生産的なものに改善する能力の程度を判定する試験です。検定試験受験のための講座を受講することでこの能力が高まります。この能力を高めることで、例えば職場ならチームワークの強化、メンタルヘルス不調の予防や自分のマネジメント力の向上に役立ちます。学校であれば、いじめの予防、生徒どうしが助け合う学級経営、生徒の主体性とモチベーションの向上、あるいは家庭やカップルの人間関係の改善などがはかれます。また、病院や福祉施設、ボランティアグループなど、人々が力を合わせて活動する場ならどこでも大いに役立つ能力です。
RQ(人間関係の質)は「場を構成する一人ひとりが、自分が安全と感じる在りようの、相互作用の関数」と定義づけられます。人は他人と接する時、自分が安全と感じるために、例えて言えばTシャツを着たり、スーツを着たり、鎧を着たり、場と相手に応じて自分を守る〝層〟を心にまといます。

RQ分析では、5種類の層を想定しており、お互いが何枚の層を心にまとっているかによって、関係の質に特徴が表れると捉えています。
お互いが何枚の層を心にまとうかは、複数の人々が出会って集団ができた(一つの場を構成し始めた)時に、無意識の内に場の空気を読みとりながら、どの層で接することが自分たちにとって安全かを判断して決めます。
まるで、それぞれの層から触手がはえていて、どの触手どうしで握手をするか瞬時にして探り合い判断して、手を握り合うようなイメージです。

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この検定で学ぶRQ分析は、人と人との関係の中で何が起きているかを観察し、誰でもその特徴や問題点・課題を見いだすことができるように分類・整理し、体系化したものです。
このコンセプトは、主に下記の理論をベースに構築されています。

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■ 比較文化史
人類の分化の歴史を比較し、共通する文化形成の過程を研究する分野です。現代に生きる人々の人間関係の在り方は、世界共通の文化の発展過程に見られる段階を踏襲しています。
検定講座では、この過程を参考にした分類法を用いて人間関係を観察・分析することにより、誰でもやさしく活用できる方法を学びます。

■ 現象学
ドイツの哲学者、エドムント・フッサール(1859~1938)によって確立された哲学の方法で、20世紀の哲学に新たな潮流を生みだしました。現象学は、「見る」「聞く」「感じる」「気づく」など、私たちが日常何げなく無意識に行っていることを掘り下げる哲学といえます。人間関係も、自分が身を置く場や周囲の人々を、自分が無意識のうちにどのように意味づけているかによって、関わりのパターンが決まってきます。この検定講座で学ぶ分類は、人によって異なるその意味づけの仕方を分類したものであると同時に、関係を改善する過程でスピネリが提唱する「現象学の3つのルール」を活用します。

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■ 場の理論
現ポーランド生まれの社会心理学者、クルト・レヴィン(1880~1947)によって提唱された理論。レヴィンは、リーダーシップ・スタイルやグループ・ダイナミクスの研究で有名です。場の理論では、一つの場にいる人々は、一人ひとりがその場の中にいながら、その場の構成要員として場全体に影響を及ぼしていると考えます。また、一人ひとりが自分の日常生活に対する意味づけを持ちこんで影響を及ぼし合っているため、その場で起きる出来事は、一つの原因があって一つの結果が起きるという原因-結果論では説明できないとしています。この検定講座では、あらゆる人間関係を場の理論に沿って観察・分析し、あるいは関係改善の働きかけをすることを大切にしています。

■ 我-汝の対話
イスラエルの宗教哲学者・社会学者、マルティン・ブーバー(1878~1965)によって提唱された最も純粋な人間関係。目的や対象との関わりである「我-それ」の関係ではなく、関係そのものの中にいる体験です。ブーバーは、宗教哲学者として神との対話を想定しましたが、この検定講座では、人と人との純粋な関係の在りようとして学び、体験します。

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■ ゲシュタルトセラピー
ゲシュタルトセラピーはドイツ生まれの精神科医、フリッツ・S・パールズ(1893~1970)とローラ・パールズ(1905~1990)夫妻、アメリカの文学者・詩人・哲学者・心理療法家、ポール・グッドマン(1911~1972)によって開発された心理療法。「実存的・実験的・体験的」なセラピーといわれ、「今・ここ」の「気づき」を体験することで癒しや成長という変化が自然と起きます。また、あらゆる体験は、自分の内側の世界と外の世界が接する「接触境界」上で起きると捉えています。この研修講座では、内側と外の世界が直接接することを防いで自己防衛をはかるために発達した中間領域層の内容を分類した観察法を学びます。

■ 変容の逆説的な理論
アメリカの精神科医、アーノルド・バイサー(1925~1991)によって提唱された理論。人は「今・ここ」の自分とは違う自分になろうと努力をしても変容は起きない。変容は「今・ここ」の自分をありのままに体験することによってのみ起きるという理論です。「人間関係はこうあるべきである」というものの見かたや、理論的枠組みを〝客観的事実〟として絶対視し押し付けることは、「今・ここ」にいる人々に、「違う自分になれ」と要求しているのと同じで、それによって人間関係に本質的な変容が起きることは期待できません。この検定講座では、バイサーが主張するように「今・ここ」で起きていることをありのままに体験し、ありのままに感じとることで関係が改善される過程を大切にします。

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